農薬がどれぐらい農作物に使われていて、どのぐらい安全なのか、一般の人にはなかなか分かりません。また、そういう報告などもなかなか日本ではありません。そう思っていたら、アメリカで環境保護 NPO「EWG」が毎年報告しているリストがあるのを2017年に知りました。ここから少し推測することができそうです。

EWGのリスト「ダーティ・ダズン」と「クリーン15」

アメリカの環境保護 NPO 機関 EWG (The Environmental Working Group)は2004年から毎年、残留農薬の多い農産物のランキング『Dirty Dozen』(ダーティな12)、そして残留農薬の少ない農作物ランキング『Clean 15』(クリーンな15)を出しています。2022年も発表されたので、そのリストを掲載します。

米国農務省が47種類の果物と野菜について行った約39,000件の検査にもとづいての報告だそうです。

あくまでもアメリカの農産物の話なのですが、まず、残留農薬の多い農産物のランキング『Dirty Dozen』(ダーティな12)のリスト。イチゴはずっと連続でワーストNO.1です。

1.いちご
2.ほうれん草
3.ケール、コラードの葉、カラシナ
4.ネクタリン
5.りんご
6.ぶどう
7.ピーマン、唐辛子
8.チェリー
9.桃
10.梨(洋梨)
11.セロリ
12.トマト

dirtydozenlist2022
(https://www.ewg.org/foodnews/dirty-dozen.phpより)

唐辛子は、2017年に人の神経系に有害性のある農薬が検出され「番外」として載っていましたが、それ以降ずっとダーティ・ダズンに入っています。日本でもネオニコチノイド系の農薬はたくさん使われているのでどうなのか、とても気になるところです。

果物が多いのは、やっぱり甘くておいしいものには虫がつきやすいので、その対策が大変だからでしょうか。

イチゴは、サンプルの3分の1から少なくても10種類の農薬が検出され、中には22種類の農薬が検出されたイチゴがあったと2017年に報告されて以来、リストのトップです。

またケールにも、癌などのリスクがある農薬が見つかっており、EWGではその使用を禁止させようとキャンペーンを行っています。(Ban Cancer-linked Pesticide Found in Kale https://www.ewg.org/foodnews/)

このレポートを発表したEWGのトキシコロジスト(薬理学の分野で、毒や中毒の治療などの研究者)、アレクシス・テムキン博士は、「誰もが、どのように栽培されているかにかかわらず新鮮な果物や野菜をたくさん食べるべきだが、同時に、買い手は、家族にとって最善の選択ができるよう、農作物にどのような有害物質が含まれているかを知る権利がある」と述べています。

逆に残留農薬が少なかったリスト(Clean 15)は、以下です。

1.アボカド
2.スイートコーン(トウモロコシ)
3.パイナップル
4.玉ねぎ
5.パパイヤ
6.冷凍グリーンピース
7.アスパラガス
8.ハニーデューメロン
9.キウイ
10.キャベツ
11.マッシュルーム
12.カンタロープメロン
13.マンゴー
14.メロン
15.さつまいも

◎残留農薬が少なかったというスイートコーン、パパイヤ、ズッキーニでは、遺伝子組み換えのものがアメリカでは多く売られているので、避けたければ、オーガニックを買ったほうがいいとEWGは注意しています。

以上はアメリカのリストなので、日本ではまた違う農薬の使い方をしているかもしれず、そのまま参考にはならないかもしれません。(コストコで買う時には役立ちますね!)アメリカでは、EWGのこの発表は、ELLE等のファッション誌でも毎年記事になっていて、それだけ日本と意識が違うのだと思うと、ちょっと愕然とします。

日本の場合、地方自治体などで検査をしていますが、残留農薬の基準内の数字であれば何も公表されません。でも日本の「基準」は、農薬でも添加物でも大変ゆるいのです。日本でも、NGOなどが残留農薬の数値を調べて発表してくれるようになることを願っています。

本当に影響は、ごくわずか?

残留農薬とか添加物の議論になると、「消費者が接触した農薬量は無視できるレベル」とか、米環境保護局(EPA)が規定した基準用量(毒物の許容できる経口摂取量)内だ、と擁護する人がいます。

それでも、「有機リン系化合物にさらされた胎児の神経発達に平均7%の知能指数(IQ)低下」が見られるなど、人体への影響があったという報告もあります。また今増加している子どもの発達障害に、農薬の影響もあると言われています。

人類は、いまだに自分の身体のことでさえ100%分かっていないのですから、できるだけ安全安心なものを食べたいと思いますよね。特に、消化器や内臓がまだ未発達の小さい子どもがいる家庭では、その気持ちは強いのではないでしょうか。

残留農薬を少しでも落とす方法 ~ 野菜洗浄剤

もう10年以上前ですが、ある地方に旅行したとき、ある農家の人が、自分たちの食べる野菜などは農薬を使わず別に作っているのを知って、とてもショックを受けました。

このような農作物に対して消費者ができることは、
1.可能なら、無農薬や有機栽培、減農薬のものを買う
2.よく洗って、皮を剥いて食べる(後述するように野菜などを洗う洗剤もある程度有効です。が、最近の農薬は、効果を発揮するために中に浸み込み洗っても落ちないものもあるのです)
3.食べる回数・量に気をつける

野菜を作れない私たちは、全て無農薬や有機栽培の食材にできるといいのですが、オーガニックのものは値段がやや高いのがツライところ。

日本では少し事情が違うと思いますが、上のEWGのリストなどを参考に、農薬が多いものはオーガニックを買ったり、あまり頻繁に食べないなどの工夫をして、農薬が少なめと思われるものは普通のスーパーで買って良く洗う、というのも賢い方法かなと思います。

残留農薬を落とすには、とにかく良く洗うこと。

アメリカでは以前から農薬を落とす洗剤がポピュラーだったのですが、日本でも最近、「野菜を洗う洗剤」を見かけるようになりました。

洗剤と言っても、実は、液体の野菜洗浄剤なら「アルカリイオン水」、溶かして使う粉末の野菜洗浄剤は「ホタテ貝の粉」を焼成したものです。

これら野菜洗剤は、残留農薬だけでなく、ワックスや環境ホルモンなどの除去にも有効です。

アルカリイオン水は、健康や美容にもいいと一時、とても話題になり、お米がおいしく炊けると炊飯に使う人もいました。だから万が一、口にしても大丈夫。また、使い方としては、どちらも最後に良く洗い流せば心配ありません。

大量の野菜を洗うなら、粉末の洗剤をボールで水に溶かして、野菜・フルーツなどを漬けておくのがいいかもしれません。

液体だったら、野菜にシュッとかけて、ボールなどに3分ぐらい放置しておきます。

選ぶときには、天然由来の成分でできたものを選びます。液体だと、ベジセーフなどが有名です。

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どちらを使っても、油のようなものが液体に出てきたり、液体が黄色っぽくなっていたりして、何かが溶けだしたのが分かります。

また、洗剤を使わないなら、塩をつけて良くこするといいという人もいます。これならすぐ出来そうですが、柔らかいものはあまりこすれませんね。

残留農薬が気になったら、残留農薬の少ない野菜・果物や、無農薬のもの、添加物の少ない食品を宅配してくれる「生活クラブ生協」を頼む方法もあります。

リーズナブルな値段で、小さい子どものいる家庭に大変人気。私も10年以上利用しています。次のページもご参考に。
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