最近「60歳を過ぎたら、たんぱく質中心の食事を」という栄養士の記事や、医師の鎌田實さんが、たんぱく質ファーストと言っているという記事を読みました。友人の60代で保健指導の仕事をしている人も、毎食必ずたんぱく質を食べるよう心掛けています。

「ベジファースト」という言葉は定着していますが、どうやら60代70代以上は「たんぱく質ファースト」が大事らしいです。(「ベジファースト」は、野菜、つまり食物繊維を先に食べることで、血糖値の急上昇や炭水化物の摂り過ぎの防止になると言われる)

とても気になったので、それらの内容を簡単にまとめてメモします。

■「60歳を過ぎたら、たんぱく質中心の食事を」から

人の身体の筋肉や肌、髪はもちろん、血液、骨、脳や神経細胞、そしてホルモン、消化酵素など、重要なところ全てにたんぱく質が関わっているそうです。でも60代以上になると、たんぱく質の吸収が悪くなり、80%ぐらいしか吸収できないので、思ったほど摂れていないのが、たんぱく質です。

たんぱく質不足だと、肌などに潤いがなくなり、筋力の低下、また免疫力の低下や疲れやすさを招きます。筋力が低下すると、身体の動きが鈍くなります。また脳の神経細胞にも影響して、不眠・うつになる危険性を高めると言われています。そしてたんぱく質不足で消化酵素が減少すると、栄養吸収がさらに悪くなります。

そこで、毎食たんぱく質を摂ること、たんぱく質ファーストで食べることが、重要と言われるようになってきました。また、たんぱく質は同じ食品からではなく、いろいろなものから摂るほうが良く、「1日3食20gずつ」が理想のようです。

たんぱく質は、主に肉・魚・卵・乳製品・大豆製品に含まれますが、主食や野菜にも少し含まれています。

以下が、食材に含まれるたんぱく質の量です。
・鳥もも肉100g・・・約17g
・鳥胸肉(皮なし)100g・・・約23.3g
・牛赤身100g・・・約16g
・脂身の多い豚バラ肉100g・・・約13g

・鮭(切り身一切れ)100g・・・約17g
・カツオ100g・・・25.8g
・マグロ赤身100g・・・26.4g
・サバ(マサバ)100g・・・20.6g
・さばの水煮缶100g・・・20.9g
・さばの味噌煮缶100g・・・16.3g

・卵1個・・・約6g
・納豆1パック(40g)・・・約6g
・高野豆腐1枚(16g)・・・約8g
・木綿豆腐100g(1/3丁)・・・7.0g
・無調整豆乳200g・・・7.2g
・がんもどき100g・・・15.3g
・茹でた枝豆/そら豆50g・・・約5.5g

・モツァレラチーズ(スライス1枚20g)・・・約3.7g
・パルメザンチーズ20g・・・約8.8g
*ただしチーズは塩分があるので控える。またプロセスチーズは超加工品なので注意。

・ごはん1膳(180g)・・・約3.6g
・食パン(6枚切り1枚)・・・約4.4g
・茹でたスパゲッティ200g・・・11.6g

・ブロッコリー100g・・・3.8g
・枝豆100g・・・10.3g

※たんぱく質の吸収・合成を促す成分であるビタミンB2、B6を一緒に摂るとより良い。

年を取ると食が細くなりますが、なるべく1日3回食べる、あるいは少しずつ何度も食べるのがおすすめ。あるいは間食にヨーグルトやチーズ、練り製品、プリンなどを食べたりするのも良い方法です。

(参考:https://life.saisoncard.co.jp/health/longevity/post/tokushu26/)

■医師の鎌田實先生の本『医師のぼくが50年かけてたどりついた長生き食事術』についての記事から

たんぱく質は、筋肉を作ったり血糖値を下げたりする、元気な体づくりに必要な栄養素。でも40歳を過ぎると、毎年1%ずつ筋肉が減っていくと言われています。40代50代で、疲れを感じたり、体調が良くない人は、もしかしたら、たんぱく質不足の可能性があります。

高齢になると、たんぱく質不足は「フレイル」(筋肉のおとろえにより心身の働きが弱くなった「虚弱」の状態)をもたらす可能性があります。特に女性はなりやすいので、筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり摂る必要があるのです。

そして、ベジファーストの食べ方だと、野菜でお腹がいっぱいになって、たんぱく質食品を充分食べられない可能性があるので、鎌田さんが提案しているのが「たんぱくファースト」

たんぱく質にも、野菜と同様、血糖値の上昇を抑える効果があるので、肉・魚などといった主菜を先に食べます。その時、同時にサラダなど野菜も一緒に食べると、血糖値の上昇を抑えながら、たんぱく質もしっかり摂ることができるのです。

お米やパン、麺類などの主食は最後に食べます。これを「カーボ・ラスト」(カーボとは炭水化物、つまり糖類のこと)と言いますが、これだとさまざまな疾患を引き起こす血糖値の急上昇「血糖値スパイク」を起こしにくく、血管の慢性炎症の予防、ひいては認知症の予防になる可能性もあります。

たんぱく質は、3食でバランスよく食べる必要がありますが、特に朝食にしっかりたんぱく質を摂ったほうが、効率よく筋肉をつけてフレイルを予防することができると言います。

そして鎌田さんが勧めているのが、「鎌田式みそ玉」。あらかじめ「味噌+顆粒だし+たんぱく質の多い具」を一緒にしたものを、味噌汁1杯分ずつ丸めて冷凍しておけば、熱湯に溶かすだけで、味噌汁が出来るというものです。

具は、サバ缶+チーズ+ほうれん草、大豆+オクラ+ほうれん草、など好きなもので。サバ缶、チーズ、大豆などで、1回10~15gぐらいのたんぱく質になると言います。さらに、ごはんに蒸し大豆をまぜたり、しらす干しをのせて、たんぱく質アップが図れます。

また、おやつには、なるべくたんぱく質の多いものを。例えば、
ヨーグルト、チーズなどの乳製品
ゆで卵(冷蔵庫に常備する)
「高野豆腐ラスク」高野豆腐は成分の半分がたんぱく質)・・・牛乳を耐熱容器に入れ電子レンジで温め、高野豆腐を入れる。あら熱がとれたら、できるだけ薄くカットして黄な粉(+砂糖でも可)をまぶし、トースターでカリカリになるまで焼く。
ナッツ類(たんぱく質豊富で、体にいい脂質・ビタミン・ミネラル・鉄分・食物繊維が多い)。

ナッツで鎌田さんが好きなのは、ピーナッツ、いり大豆「きな粉ナッツ」というものも作っています。(黒糖と水をフライパンに入れ、弱火で水分を飛ばしナッツを入れ、黒糖でコーティング。冷ましてきな粉をまぶす)

それから、筋トレのあとの30分以内は、傷ついた筋肉細胞がたんぱく質によってよみがえる「筋肉のゴールデンタイム」ということで、この時にも、しっかりたんぱく質を摂ります。

(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/719226)